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ドキュメントに、出力インテントとしてたとえば「CGATS21-CRPC6」が含まれる場合、それが意味するのは「この PDF を受け取った相手には、CGATS21-CRPC6 印刷でこのアートワークを印刷してもらいたい」ということです。それによって印刷物の購入者は、印刷時の見栄えを具体的に特定できます。出力インテントは、PDF の当初からの機能です。

アートワークを作成するアプリケーションには通常、CMYK 作業スペースとして CMYK プロファイルが用意され、画面上の表示でその作業スペースの印刷がシミュレートされます。Acrobat で PDF ファイルを閲覧用に開くと、出力インテント(ある場合)が読み込まれ、それと同じカラーが画面上でシミュレートされます。出力インテントに従って印刷することにより、意図通りのカラー インテントでの印刷に最も近づきます。

出力インテントは、透明処理の点でも重要な役割を果たします。ファイル内に、たとえば背景画像にブレンドされた明るいテキストなど、RGB および CMYK オブジェクトに影響を与える透明処理情報が含まれている場合、その出力インテントは、CMYK ブレンド前に RGB 画像を変換するための CMYK デスティネーション プロファイルとして意図されています。Acrobat では、表示される色がこの方法で計算されます。もし RGB 画像を別のデスティネーション プロファイルで CMYK に変換すると、ブレンド結果が異なって表示される可能性があり、特にブラック生成が出力インテント プロファイルと実際に使用されている CMYK プロファイルとで異なる場合に、それが当てはまります。Prinergy でこの RGB 変換を実行する場合は、フラット化後の想定カラーを最も正確な形で実現するために、最初のリファインでファイルの出力インテントを維持する必要があります。これが、[埋め込まれた出力インテントを使用...]をデフォルトで選択する主目的です。

つまり、[埋め込まれた出力インテントを使用...]の選択次第で、入力 PDF ファイルの出力インテントを使用するか無視するかが決まるのです。もう 1 つの考慮事項が、Prinergy で処理を行った後の、ファイル内の出力インテントの配置または保存です。これについて、以下で詳しく説明します。

出力インテントは、PDF/X の文脈で説明されることがよくありますが、出力インテントを含めるといった場合、対象のファイルが PDF/X ファイルであるとは限りません。どの PDF ファイルにも 出力インテントが含まれる可能性はあり、PDF/X ファイルでは出力インテントが必須です。ただし、バージョン 9.5 以前の Prinergy では、PDF/X-1a の生成用にリファインを指定したうえで、出力インテントとして、ノーマライズで[カラー変換デスティネーション プロファイルを使用...]を明示的に選択した場合にのみ、 意味のある出力インテントが作成されていました。Prinergy 9.5 以前は、この機能を使用している顧客はほとんどいなかったものと思われます。しかし現行の Prinergy では、出力インテントをすべてのリファイン済み PDF に埋め込めるようになっています。

PDF ファイルに出力インテントが含まれている場合、出力インテントの適用は任意です。Acrobat、Prinergy、DFE などのファイル利用者は、適用するか無視するかを選択できます。

出力インテントは常に、カラー インテントを伝達するための第一の選択肢となります。Ghent Working Group(GWG)は、「発行とパッケージ化のワークフローのベストプラクティス構築」を目的に掲げ、出力インテントの使用を推奨しています。一部の顧客は当社に対して GWG への準拠の改善を求めており、また当社としても、業界トレンドに合わせてワークフローを進化させることが重要です。

それに沿う形で、Prinergy 9.5 の新しいリファイン プロセス テンプレートには、次のようなデフォルトの動作が採用されています。

  • スポット カラー変換など、いずれかのカラー変換が実行されると、変換デスティネーション プロファイルが出力インテントとして配置されます
  • カラー変換が実行されないときは、ファイルの出力インテント(存在する場合)が保持されます

この動作は、[ノーマライズ - 出力インテント]パネルで既存のリファイン プロセス テンプレートに対しても選択できます。

出力インテントを含めたり保持したりしても特に支障はありませんが、必要なら省略することもできます。

PDF ベクター出力にも似た動作があります。これは、デジタル印刷 DFE に送信される PDF ファイルにおいて非常に重要です。これにより、DFE は出力インテントのカラーをデジタル印刷機のカラーに変換できるため、人手を介することなく、さまざまなジョブのカラー インテントを反映させられます。PDF 出力が、直接リファイン結果を出力する場合でも、別のカラー変換を実行する場合でも、正しい出力インテントが常に反映されるのです。

ColorConvert では、それがファイル システムから選択されたものか、ColorFlow によって提供されたものかに関係なく、デスティネーション プロファイルが出力インテントとして配置されます。キャリブレーション済み印刷機を PCO としてカラー設定している場合、ColorConvert によって、その PCO(プライマリ カラー出力)プロファイルが出力インテントとして配置されます。つまり、Acrobat で印刷結果が正確にシミュレートされるわけです。この同じプロファイルは、既存のコントロールによるハード コピー プルーフにも使用されます。

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