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このページでは、印刷用紙または従来のページの位置ずれの測定値から、見当加減率を計算する例を表示します。

見当加減の補正値を決定する標準的な手順としては、まず補正なしで印刷用紙に印刷して、面の異なるポイントでの版ずれを測定します。次に、最も左にある 1 組のマークの不一致と最も右にある 1 組のマークの不一致を足して、両者間の距離で割ることによって、1 つの色版と別の色版とのずれが計算されます。

計算後、その比率を見当加減プロファイル ファイルに入力します。Prinergy では、見当加減プロファイルの値を使用して、見当加減を補正する計算が行われます。

例 1:グリッド上でのイエロー版からのずれの測定

表 1 は、インキ順 KCMY でグリッドをシートに印刷した場合の測定結果を示しています。各列の数字は、左右方向に配置された縦のグリッド線の場所での値です(これは一例です。実際には、グリッドにはさらに多くの線が含まれます)。イエローは一番上の版であるため、他の色版を測定する基本の色版になります。

表 1:グリッド上でのイエロー版からのずれ

 

距離(mm)
負の数字は、左への距離を示します。
正の数字は、右への距離を示します。

ページ
伸張率

X

-886.8

-584.0

-252.0

-12.7

12.7

315.5

584.0

886.8

適用なし

K-Y

-1.38

-.82

-.36

.1

.13

.64

.95

1.40

(1.38 + 1.40)/(2 x 886.8) = 0.157%

C-Y

-1.04

-.66

-.36

.10

.10

.30

.46

.78

(1.04 + 0.78)/(2 x 886.8) = 0.103%

M-Y

-.52

-.30

-.08

.10

.08

.12

.23

.40

(0.52 + 0.40)/(2 x 886.8) = 0.052%

X は、用紙の左右方向の中心から縦のグリッド線までの左右の距離(軸の方向)です。最初の列は、最も左にあるグリッド線の位置を示し、中央から左側へ 886.8 mm の位置です。最後の列は、最も右にあるグリッド線の位置を示し、中央から右側へ 886.8 mm の位置です。

K-Y 行の数値は、各グリッド線の位置における、ブラック版とイエロー版のずれを表します。C-Y 行の数値は、シアンの版とイエローの版の版ずれを表します。M-Y 行の数値は、マゼンタの版とイエローの版の版ずれを表します。

K-Y 行を詳細に見てみると、X が -886.8 である列の -1.38 という数値は、用紙の左端において、ブラック版がイエロー版より 1.38 mm 左にあることを示しています。また、X が 886.8 である列の 1.40 mm という数値は、用紙の右端において、ブラック版がイエロー版の 1.40 mm 右にあることを示します。よって、ブラック版はイエロー版より、(1.38 + 1.40 = 2.72 mm ほど)大きいことになります。これは、ブラックがイエローより先に印刷され、ブラック インキ ユニットからイエロー インキ ユニットに移動する間に用紙に張力がかかることから、予測される現象です。ブラック版の伸張は、表の右側の[伸張率]項目に示されているとおり、イエローに対して (1.38 + 1.40) / (2 x 886.8) = 0.157% です。

同様に、C-Y 行および M-Y 行においても、これらの色版のイエローに対する伸張率が同様に計算された値が、表の右側に表示されています。シアンの伸張率は、マゼンタの 2 倍で、ブラックの伸張率はマゼンタの約 3 倍です。これは均等に配置されたインキ ユニットでは正常な現象です。

注: 伸張率の計算に使用したデータは、用紙の端でのずれのみです。

見当加減を計算した後、この伸張率が当てはまる印刷機と用紙に使用する見当加減プロファイルに数値を入力します。1 つの見当加減プロファイルで、表面(Upper)および裏面(Lower)の両方に数値を入力する必要があります。Prinergy では、見当加減プロファイルの数値を使用して、見当加減を補正する計算が行われます。見当加減プロファイルの数値は、通常、最初のインキ タワー(最初の色で、伸張は最大)から最後のインキ タワー(最後の色で、伸張なし)にかけて減少します。

見当加減プロファイルの例

Color Tower ファイルの例


注: 左右の比率のみがファイルに表示されます。比率がない箇所は y(用紙の進行方向)の 0 の位置であるためです。タワー 4(TowerColorMap.txt ファイルではイエロー)の伸張は、0 であるため含まれていません。実際の見当加減では、用紙の巻き上がりを防ぐため、裏面の伸張率の値(side=L)が表面の値(side=U)と一致します。

例 2:ページ シフトの測定

この例では、グリッドでの測定の代わりに、見当加減で補正するページ シフトが使用されますが、これは従来の補正方法でのジョブ ジャケットの表にあるものと類似しています。この例では、インキ順は KCMY、単位はインチ、面付けは横に 4 面、ページ幅は 12.5 インチです。

表 2:見当加減を補正するためのページ シフト

ページ

左外側

左内側

右内側

右外側

K

0.005

0.002

-0.002

-0.005

C

0.003

0.001

-0.001

-0.003

M

----

Y

-0.004

-0.002

0.002

0.004

左外側のブラック ページは、中央に向かって 0.005 インチ右に移動します。左外側のページは、中央に向かって 0.005 インチ左に移動します。イエロー ページは外に向かって移動されます。マゼンタ版は調節されません。

表 1 では印刷時のずれが指定される一方、表 2 では適用される補正が指定されます。表 2 では、マゼンタが基本の色版として使用されています。しかし、見当加減プロファイルでは、一番上のインキが基本の色版として使用されます。

下の表 3 は、表 2 のデータを表 1 の形式に換算したものです。左外側のページでは、ブラックが 0.005 インチ右にシフトし、イエローが 0.004 インチ左にシフトします。結果として、イエローに対してブラック ページが 0.009 インチ右にシフトしたことになります。 表 2 で、ページの中央を合わせるために各ページをどのくらいシフトするかが示され、ページ幅が 12.5 インチであるため、左外側ページのページ中央が、折丁の中央から 1.5 x 12.5 インチ = 18.75 インチ左になります。したがって、中央から -18.75 インチの位置にあるイエローに対するブラックの位置ずれは -0.009 mm です。

表 3:イエロー版のページ中央からの位置ずれ

 

距離(インチ)
負の数字は、左への距離を示します。
正の数字は、右への距離を示します。

ページ伸張率

X

-18.75

-6.25

6.25

18.75

適用なし

K-Y

-.009

-.004

.004

.009

(0.009 + 0.009)/(2 x 18.75) = 0.048%

C-Y

-.007

-.003

.003

.007

(0.007 + 0.007)/(2 x 18.75) = 0.037%

M-Y

-.004

-.002

.002

.004

(0.004 + 0.004)/(2 x 18.75) = 0.021%

伸張の計算にも、外側のページのデータのみを使用します。位置ずれは 1 つの有効数字のみに正確であるため、伸張率に 2 つ以上の数値を使用する必要はありません。

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